Webサイトを大幅リニューアルしたのをきっかけに、これからは、システムの機能ばかりではなくて、どういう考え方で、どのような経緯で私たちがブッキングブックという運送システムを開発したのかもご紹介したいと思います。
その第一弾として、ブッキングブックの最大の特長である、配車表アプリを開発した経緯にふれてみます。
さて、あれはもう5年ほど前でしょうか、とある運送会社の社長さんが、今使っているシステムに不満があるということでお話をいただきました。
「一応システムは入れて、何年か使ってみてはいるんだけど、思うように効率が上がらないんですよ」
使いこなせてないだけなんじゃないかなあ・・・と想像しつつ、話の続きを聞いてみると、どうもそんな簡単な問題ではなさそうでした。
「ドライバーが仕事から帰ってきて、日報を書く。そこからシステムに入力して、請求書や集計表なんかを出すんですが、そこまでは全部手書きなんです」
なんと。
「だから荷主さんから電話あったらメモに書く。メモを見て配車したら同じ情報を配車台帳に書く。ドライバーに配車指示書出さないといけないのでまた同じようなことを書く・・・とにかく、同じことを何回も何回も手書きで書いていくんだから面倒だし、ミスも多くなるってもんです。目の前にノートパソコンあるのに」
それはそうです。おっしゃる通り、なんで荷主さんから電話があった時点でシステムに入力できないんですか?
「使いものになる配車表のシステムが無いんですよこれが。Excelだと手書きをパソコンにしただけで、なにか突然変更があるとかえって不便になることもあるし、普通の運送システムには現場が楽になるほどの配車表はついてないんですよね・・・」
ふむ。Googleカレンダーなんかで応用できないんですか?
「あれね、あれいいな!と思ったんですよ。ところがあれ、ちょっとマウスで触っただけで簡単に移動できちゃうでしょう?それじゃお客様からお金いただく商売にはなかなか使いづらいんですよね。あと、トラック運送では宵積みって言って、荷物を前の日のうちに積み込んでおいて次の日にお届けするというパターンが結構多いんですが、Googleカレンダーだと夜中の0時で切れちゃって、日をまたいだスケジュールが入れられないんです。イメージはまさにあれに近いものがほしいんですけどね。マウスでぐいっと移動できたりする感じの」
確かに、そういうソフトウェアがあれば、配車の時点でデータに落とし込んでおけば車両やドライバーの変更にもすぐ対応できるし、指示書も出せるし、請求書だって二度打ちこむ必要なくなりますね。そうなれば大幅に効率がアップするはずです。
「もうひとつ欲を言うとですね、今の紙の配車台帳だと、新規の仕事を取ってきても本当に受けられるのかどうか、今一つ自信が持てない。だから、パソコンの画面でパっと見ればどのくらい車両やドライバーが空いてて、よし、これなら受けても大丈夫!というのが一目瞭然になってくれると、売上アップさせるのにも都合がいいんですよ」
いやまさにおっしゃる通り。おっしゃる通りなんですが、そんなシステム、御社一社で開発するのはコストかかり過ぎて難しいと思いますよ?
「うん、ですからね、色々補助金を探してみてチャレンジしてみませんか?」
この会話が、ブッキングブック開発のきっかけとなりました。その後、どうも競争率は激しそうだけど、経産省の新連携という制度なら応募できるらしい、ということがわかりました。
その審査通過を目指して、ああでもない、こうでもないと数か月頭をひねりつつ考えた、新しい配車表のイメージがこれです。
Googleカレンダーのような使い勝手で、かつ運送システムに要求される機能を付け加えていく。それを限られたパソコンの画面内で、年配の方にも操作できるような簡単さで(配車担当者の高齢化も、この業界ではよく聞くお話しです)・・・
ここから補助金獲得に至るまでが、また大変な道のりだったのですが、続きはまた次回に。